私の人生BLについて考えてみた

 韓国BL漫画を愛でるためのブログですが、今回はちょっと脱線して私が大好きな日本のBL作品の話をしたいと思います。韓国だけなのか日本にもある表現なのかはわからないのですが、韓国の方と話してると自分の中で特に思い入れのあるものに対して「人生○○」と銘打っているのをよく耳にするんですよね。人生漫画、人生本、人生劇、人生映画、などなど。その表現が私はとても好きなので、今回は私の人生BL「天使のうた」について語ってみたいと思います。人生BLについて書きたい!と思い立ってから早数ヶ月。私の人生BLについてずっと考えていたのですが、好きな作品はたくさんあれど、いやむしろ大好きな作品がたくさんあるからこそ「人生BL」となると選ぶのが難しくて、なかなか決められずにいました。だけど悩みに悩み抜いた結果、やっぱり「天使のうた」は私にとって特別だなという結論に。そんなわけで西田東(ヒガシ)先生の「天使のうた」、ぜひぜひ読んでください!(推し方が下手)

 

 

 

天使のうた/西田東先生

 

 

天使のうた (1) (ディアプラス・コミックス)

 

 5年以上前に西田東先生の作品に出会ってその独自の世界観に魅了されたのですが、その中でもこの「天使のうた」は何度も何度も読み返してしまう魅力があって、その魅力はいくら読み返しても色褪せないんですよね。医者のミシェル(攻)と類い稀な美貌を持つ音楽家のクリス(受)、そしてクリスの息子アレックスの話なのですが、2人がそれぞれ家族を失ってから再会。そこから動き出す物語です。愛する妻子を失って生きる意味を見出せなくなってしまったミシェル、人気のある音楽家でありながらその美しい外見とは裏腹に心に闇を抱えるクリス、そして父親の真似をしてゲイストリートで体を売ろうとするアレックス。過去故に器用に生きられないふたりの大人とひとりの少年の物語は、辛い出来事や胸が苦しくなるような展開も多くて笑顔のまま読み切ることはできないのですが、読後は暖かい涙が止まらなくなります。他の作品もそうなんですが、西田先生の作品は重いテーマや辛い展開の中にもクスッと笑える箇所が盛り込まれているし、ラストで救われるところが個人的に大好きなところです。天使のうたも、そう。胸が苦しくなるストーリー展開だからこそ、最後に照らされた希望で涙が止まらなくなるのかもしれません。そして私はまた何度も読み返して、何度も泣くんだと思います。感想が下手すぎてうまく魅力を伝えられなくて悲しいけど、BL好きな人は本当に全員読んでほしい。人生BL関係なく天使のうたはずっとずっとレビュー書きたかったんだけど(それこそ年単位でずっと)、私が言葉で表現するのが苦手というか、言葉にすると薄っぺらになってしまいそうで書けず。大好き!って気持ちはたくさんあるのに、それをどう言語化したらいいのかが難しくて、それほど一言では表せない色々な要素がある作品なんだと思います。私の言語能力が低すぎるのも理由のひとつではあるけども。考えるな、感じろ!で生きてきたから感覚でものを好きになりがちな私ですが、天使のうたはじっくり考えながら読みたい名作です。ほんとにみんな読んでみてほしい〜〜〜!!!言語化を諦めた)

 

 

 

 

(以下はネタバレ含みます)

(ただの自己満語り)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 個人的に性格に難ありで貞操観念が緩い美形キャラが好きだからクリスも一瞬で好きになったんだけど、読み進めていく内にますます好きになった。実の父親から屈折した愛情を受けてきた過去のせいで歪んだ愛情しか注げなくなってしまったクリスが悲しくて切なくて、でもそんなところも含めて愛しいと思わせてしまう魅力がある。アレックスのことも大切に思っていたはずなのに、幼少期の環境ゆえにまっすぐに愛することができないクリス。自分が父親から受けてきた酷い虐待行為を自分も息子にしてしまうのではないかという葛藤、恐怖。ヘルムートさんに万が一の時は自分を殺してくれと頼んでいたクリスが泣けるし、支えてきたであろうヘルムートさんのことを考えても泣ける。そういう周囲のキャラクターの描き方が、西田先生は本当に上手だと思う。さりげなく出てくるキャラクターが本当にいい味を出している。そしてクリスがヘルムートさんに拳銃を渡すところを想像したら、胸が痛すぎた。でも自分の凶暴性と戦ってきたクリスは狂ってなくて、いっそ気が狂ってしまった方が楽だったかもしれないけどずっとずっと自分と闘ってきていて、自分からアレックスを、息子を守りたいという気持ちも確かにあって。だけど愛し方を知らないクリスが切ない。ミシェルに対しても。だけど、ミシェルに出会わなかったらきっとクリスは自分が恐れていた通り破滅の道に突き進んでいたかもしれないし、ミシェルのおかげで愛を知って、すべて受け入れてもらって、幸せに生きていく道を見つけることができて本当に本当によかったと思う。終盤、抱いてもらえないと、と泣くクリスはどこか子供みたいで、いつもの軽口がない。その縋るような瞳に、心臓鷲掴みにされた。でもいつもの軽口ばかりを言うクリスも好きで、軽口に本音を混ぜてくる素直じゃないようで素直なところも好きで、とにかく西田先生作品の中で一番好き。死ぬほど苦しんだ分、ずっとひとりで闘ってきた分、これからその何百倍も幸せになってほしい。ミシェルと出会えてよかったね!!ミシェルもアレックスも大好きなんだけど、ついついクリスのことばかり語ってしまう。ハービーもいいキャラしてて好き。前述した通り、ヘルムートさんも好き。みんな含めて、天使のうたが好き!!!